「20秒に1台」の超高速生産ラインを支える、高信頼の次世代IT基盤
UMC・Hエレクトロニクス株式会社
UMC・Hエレクトロニクス株式会社
UMC・Hエレクトロニクス株式会社(以下、UMC・H)は、車載・産業分野を支える先端エレクトロニクス製品を製造する企業です。車載機器事業の急成長に伴い、生産管理システムのIT基盤を刷新しました。24時間365日稼働し、1秒のシステム待ち時間でも大きなコスト要因となる生産ラインを支えるため、同社が選定したのは日立ヴァンタラのサーバーとストレージです。採用の決め手になったのは、絶対的な信頼性でした。
UMC・Hエレクトロニクス株式会社 代表取締役社長 水越 浩幸 氏
UMC・Hは、2018年、長年にわたり株式会社日立製作所の情報通信インフラ製品の製造を担ってきた子会社がグローバルに事業を展開するユー・エム・シー・エレクトロニクス傘下に加わったことで誕生。日立時代に培われた高品質・高信頼なものづくりのDNAを残しながら、新たな成長ステージへと入ることになりました。
統合後は、ユー・エム・シー・エレクトロニクスが持つ豊富な製品生産実績とコスト競争力を武器に、従来のIT製品群に加え、車載機器や産業機器分野へと事業を拡大しました。現在は、これら3つの分野が事業の柱に育ち、中でも車載機器ビジネスが急成長を遂げています。
社是には、「感謝の心を大切にします」「心のこもった製品をおとどけします」という言葉があり、部品調達から製造、出荷までをワンストップで対応できるスピーディな対応力と品質の高さが強み。小型の車載デバイスから巨大な産業機器まで、多種多様な製品の生産を手掛け、多くの顧客からの強い信頼を獲得しています。
同社の顧客であるメーカーの多くは、グローバルに展開する大企業です。そのため、ほぼすべての顧客は自社で選定したERPパッケージを運用し、それと連携するMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)も保有しています。こうしたケースでは、同社が運営する生産ラインにおいて、顧客のシステムをそのまま工場内で稼働させることになります。
一方、車載機器ビジネスは同社が独自に展開する事業で、ユー・エム・シー・エレクトロニクスが利用するERPと自社開発のMESを連携させて生産プロセスを管理しています。同社では社内システムについて、クラウドとオンプレミスを適材適所に使い分ける方針を取っていますが、MESは生産現場での高い応答性能とセキュリティが求められる重要なものとして、オンプレミス環境で稼働させてきました。
従来のオンプレミスシステムは、サーバ2台とストレージ1台で仮想化基盤を構成し、このMESをはじめ、非クラウドの各種アプリケーションをまとめて稼働させていました。ところが、車載機器ビジネスの急成長でリソースが逼迫することになります。
代表取締役社長 水越 浩幸氏は、「車載事業はここ5年で生産ラインが1ラインから7ラインへと急拡大しました。それに伴い、システムが処理すべきデータ量も爆発的に増え、従来の基盤では性能が限界に近づいているのが明らかでした。このままでは、今後の事業拡大に耐えられません。IT基盤の抜本的な刷新が不可欠な状況でした」と振り返ります。
代表取締役社長 水越 浩幸 氏
次世代IT基盤の検討にあたり、クラウド移行も選択肢に上がりましたが、結論はオンプレミスでした。取締役 工場長 田内 円氏は、「車載ラインは20秒に1台というハイペースで製品が流れています。システムからの応答が1秒遅れるだけで、生産性に直結するロスが発生してしまいます。このシビアなリアルタイム性に加え、機密性の高いデータを扱うセキュリティ面を考慮すると、オンプレミスが最適解でした」と話します。
取締役 工場長 田内 円 氏
工場休業日を除き、24時間×365日稼働し続ける車載ラインにおいて、システム停止は許されません。そのため、プラットフォームであるサーバとストレージに要求されるのは、高い信頼性です。このポイントを重視して複数のベンダー製品を比較検討した結果、日立ヴァンタラのサーバとストレージの採用が決まりました。
最大の理由は、UMC・Hエレクトロニクス自身が日立ヴァンタラ製品の製造・試験プロセスを担い、その品質の高さを知る立場にあったことです。「私たちは日立ヴァンタラ製品に対し、高負荷試験や温度変化試験など、『これでもか』というほど過酷な品質検査を行っています。その厳しい基準をクリアした製品だからこそ、信頼性は間違いなくナンバーワンであると断言できました」(田内氏)。
さらに、同社では顧客から預かった生産システムとして、日立ヴァンタラ製サーバを運用する機会もあります。製造技術部 ITグループ 課長の小番 山洋氏は、「実際に運用していても、本当に壊れません。長期間動かし続ける環境でも、ゆるぎない安定性を発揮します。実績を日々体感することで、自社の最も重要なラインにも日立ヴァンタラ製品を使いたいと考えるようになりました」と話しています。
新システムは、サーバ3台、ストレージ2台の構成で設計されました。導入の最大の山場は、2024年8月の夏期工場休業期間を利用した移行作業です。
「工場のメンテナンスに伴う計画停電があったため、作業に充てられる時間は実質3日間しかありませんでした。しかも、飛び石日程で1日おきです。この限られた時間内で、旧仮想環境からHyper-Vへの移行を含めて、すべてをやり遂げる必要がありました」(小番氏)
この過酷な移行日程でもスケジュールどおりにプロジェクトを成功させたのは、アプリケーション移行を担当した株式会社日立システムズと、ハードウェア側の支援を行った日立ヴァンタラが緊密に協働した結果でした。日立ヴァンタラのエンジニアもオンサイトでサポートし、UMC・Hを含めた3社がワンチームとなって着々と作業を進行させ、予定どおりにシステムを稼働させることができました。
小番氏は、「実は、今回導入したサーバは、まさに当社のラインで試験し、最終的に組み立てられたものです。製造指示書に発注者として私の名前が記載されていたため、現場のスタッフから『小番さんの名前が入ったサーバが流れてきたぞ』と話題になりました。そんなこともあったので、愛着もありますね」と笑顔を見せます。
製造技術部 ITグループ 課長 小番 山洋 氏
新システムは将来の拡張性も十分に考慮されています。現在はリソースに余裕を持たせた運用を行っていますが、万が一キャパシティが逼迫した場合でも、サーバの増設だけでなく、CPUやメモリ単位での増強が可能な柔軟な設計です。
水越氏は、「ビジネスが成長しても、向こう5年は戦える構成です。もし急激な受注増があっても、生産開始までのリードタイムの間に計画的にリソースを増強できるため、安心して事業拡大に邁進できます」と話してくれました。
このように、新システムへの切り替えはトラブルなく完了しました。小番氏は、「切り替え後も、システムがあまりに静かで何も起きないので、逆に不安になるほどでした」と話します。以来、車載ラインの生産にトラブルはなく、極めて安定した運用が続いています。
性能面ではさらなる高みをめざしています。ストレージをHDDからSSDへ刷新したことで、理論上は旧システム比で4倍のレスポンス向上を見込んでいます。コスト最適化のために新しい仮想化基盤に移行したため、日立ヴァンタラおよび日立システムズと協力し、ハードウェアのポテンシャルを最大限に引き出すためのチューニングに取り組んでいます。
その過程でも、日立ヴァンタラのサポートは光りました。「パフォーマンスを最大化するために、サーバのBIOS設定で“高パフォーマンスモード”を試したいと考えました。しかし、消費電力が上がることで、万が一の停電時にUPS(無停電電源装置)のバッテリーが持たず、安全にシャットダウンできなくなる懸念がありました。その際、日立ヴァンタラの担当者が詳細な電力試算を行い、“設定を高パフォーマンスに変更しても、安全に停止できる10分間はUPSで稼働を維持できる”という裏付けを出してくれました」(小番氏)。このような導入後のきめ細かなサポートにも支えられ、同社では次の工場休業期間を利用して、さらなる高速化に向けたテストと設定変更を実施する予定です。
同社にとって今回の基盤刷新は、次世代のスマートファクトリー化へのスタートでもあります。そして、日立ヴァンタラには、ハードウェアの提供にとどまらないDX推進のパートナーとしての役割も期待しています。
田内氏は、「今後は日立ヴァンタラのユーザー会のようなコミュニティを通じて、AIなどの最新技術に関する知見やノウハウを共有させていただきたいです。中でも力を入れたいのが、設備の予兆保全です。機械が壊れてから直すのではなく、悲鳴を上げる前に手当てをする。そのためには、他社での成功事例などの情報共有が極めて有益になりそうです」と話します。
小番氏はデータの活用について、“知の伝承”がキーワードになるとして、「工場内に散在する膨大なデータを集約し、AIで分析することで、予兆保全に加えて熟練技術者のノウハウ継承にも役立てられると考えています。集約したデータを日立ヴァンタラの高性能なサーバに蓄積し、AIで高度な分析を行う。そうした次世代のものづくりを、日立ヴァンタラと共に実現していきたいと考えています」と話してくれました。