ランサムウェア対策も万全!業務停止不要の遠隔バックアップで、止まらない医療をサポート

株式会社ソフトウェア・サービス

株式会社ソフトウェア・サービス(以下、ソフトウェア・サービス)は、同社の提供する「遠隔バックアップサービス」のユーザー急増に対応するために、日立ヴァンタラのストレージソリューションを採用しました。最大の決め手は、昨今脅威を増すランサムウェア攻撃の対策に欠かせない「イミュータブル(不変)バックアップ」を業務停止なしに運用できること。さらに、日立ヴァンタラ独自のデータ圧縮技術とSSD化により、バックアップ時間の24倍高速化とデータ量を半分以下に削減という成果を達成しました。

ユーザー数が増えても、バックアップ時間に大きな影響は出ません。 将来も、確かな安心感を持って拡張できます。

株式会社ソフトウェア・サービス インフラソリューション部 部長 清政 雄希 氏

東京・大阪の2拠点体制で実現する、医療データ保全のレジリエンス強化

ソフトウェア・サービスは、1,000以上の病院で採用実績のある電子カルテシステム「新版e-カルテⓇ 」と病院総合オーダリングシステム「NEWTONS2」シリーズを提供する医療ITのスペシャリスト集団です。「医療現場の要望を迅速に形にし、止まることが許されないシステムを24時間365日体制で守り続ける」という企業姿勢で顧客から高い信頼を得ており、パッケージの販売に加えて周辺システムの開発・保守に至るトータルなサポートが強み。近年では、生成AIに代表される新たなテクノロジー対する医療現場の関心の高まりを受け、AIを活用した機能拡充や新サービスの開発にも積極的に取り組むなど、現場のニーズを意識した進化を続けています。

同社の手掛ける医療情報システムにおいて、データの損失は病院経営のみならず、患者の命にも関わる重大な事態を招きます。自然災害の激甚化やサイバー攻撃の脅威が増す中で最も注力しているのは、さらなる安心・安全を提供するための「遠隔バックアップサービス」。万一の事態に備え、病院内のデータを物理的に離れた同社のデータセンターで保管するサービスです。有償オプションになりますが、その価値を認めるクライアントは多く、同社のシステムを導入している病院の約半数にあたる500以上の医療機関がBCP(事業継続計画)対策の一貫として利用中です。

国内の大規模病院のほとんどは、病院内のサーバルームに機材を設置し、基幹システムをオンプレミス形式で運用しています。そのため、PaaS運用しているわずかなケースを除けば、同社のシステムもオンプレミスで採用されることがほとんどです。インフラソリューション部 部長 清政 雄希氏は、「多くの病院様が、自院のデータが院内だけに留まることのリスクを深刻にとらえておられます。5割を超えるという高い利用率は、万一の際にも診療を継続し、地域医療を守り抜くという、病院様の強い責任感の表れでもあります」と話します。

そのためには、物理的に離れた場所にバックアップ拠点を設けることが必要になります。同社は、東京と大阪の2拠点内に堅牢なデータセンターを設け、西日本の医療機関のデータは東京、東日本の医療機関のものは大阪で預かることで、広域災害が発生した場合でも、病院とデータセンターが同時に被災する確率を極限まで低減させ、人的なサポートを含めた万全の体勢でデータを預かるプロセスを整えています。なお、病院とデータセンターの間は、専用線で直接結び、機密性の高い医療情報が外部に漏洩することを防いでいます。


インフラソリューション部 部長
清政 雄希 氏

医療データの最後の砦。業務停止不要のイミュータブル・バックアップ

遠隔バックアップサービスの対象となるのは、同社のシステムに登録された診療録、検査結果、投薬指示など電子カルテのデータベースが中心。秒単位で更新される医療記録をリアルタイムに転送・同期し続けることになります。

「電子カルテに入るのはテキストと画像情報ですから、1つひとつのデータ量はそれほど多くありません。しかし、それらは医療における意思決定の積み重ねで、時間の経過とともに膨大な記録量になります。この貴重な情報を、安全な専用線を通じて確実にデータセンターと同期する必要があるのです」(清政氏)


サーバー第三グループ マネージャー
桝 祐翔 氏

サービス開始以来、東京データセンターではバックアップ基盤として日立製品を採用してきました。2025年、さらなるユーザー数の増加に対応するため、プラットフォームを拡張するプロジェクトが立ち上がりました。インフラチームが目指したのは、単なる容量の追加ではなく、最新のセキュリティ脅威に対応し、かつ運用負荷を軽減できる次世代のプラットフォームです。

サーバー第三グループ マネージャー 桝 祐翔氏は「複数のベンダーさんから提案を受けましたが、その中で日立ヴァンタラさんの提案は、私たちの課題をすべてクリアしてくれるものでした。具体的には、ユーザー増に伴う負荷増大の解消、バックアップ速度の向上、そして最新のセキュリティ要件への対応という要件です」と当時を振り返ります。

選定基準において同社が最も重視したのが、昨今のサイバー攻撃対策として不可欠な「イミュータブル(不変)・バックアップ」の実装でした。イミュータブルを使えれば、万一管理者のアカウントが乗っ取られたとしても、データそのものを上書き・削除できないようにできます。

桝氏は、「複数の製品を検討すると、バックアップの一貫性を保つための“静止点”を作る際にサーバを停止させる必要がある、という制約が表面化しました。しかし、病院のシステムは24時間365日止まることが許されません」と話します。「サーバを稼働させたままバックアップを取り、さらに並行して世代管理までできるのは、日立ヴァンタラのソリューションだけでした。この違いは、運用面において極めて大きな差になります。バックアップソフトなどの外部ツールに依存せず、ストレージ単体の機能として完結できる点も評価しました」。


One Hitachiが支えた、高速プラットフォーム刷新の裏側

システム開発は株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)が担当しました。導入期間中、既存のプラットフォームが予想を上回るユーザー数の増加により、リソースが極限まで逼迫する事態に見舞われました。サーバのI/O負荷がピークに達しそうになったことで、ディスク障害やエラーの発生リスクが高まり、いつサービスに影響が出てもおかしくない “秒読み状態”に陥ったのです。

「新しい基盤が完成するのを待っていては、既存のシステムが持ちこたえられないかもしれません。日立システムズさんに、構築と並行して一部のデータを新基盤へ移行させてほしいという、スケジュール的にも技術的にもかなり無理なお願いをしました」(桝氏)

稼働中のバックアップサービスを構築中の新基盤へ先行して移行させるという難題です。日立システムズと日立ヴァンタラは協力して、この困難な要求を、緻密な移行プランと検証体制で成功に導きました。結果、旧プラットフォームの負荷が下がり、稼働が安定。正式稼働後の新プラットフォームが安定稼働すると確信を持つこともできました。

サーバー第三グループ 堀川 佳資氏は、「危うい状態にあった旧基盤を救うことができ、さらに新基盤への完全移行もスムーズに進めることができました。実質2か月という短期間でこれだけの作業を完遂できたのは、プロジェクトにかかわってくれた方々の技術力と献身的なサポートがあったためです」と話します。

新プラットフォームでは、従来のHDDからSSDへとストレージメディアを刷新。SSD化はコスト増を招きますが、日立ヴァンタラ独自のハードウェア圧縮アクセラレーターが、高性能と高圧縮率の両立を実現。堀川氏は、「実際に運用してみると、実データ量に対して半分以下に圧縮されていることがわかりました」と話します。パフォーマンス面でも、従来24時間かかっていたデータのバックアップが、わずか1時間弱で完了することが実証されました。


サーバー第三グループ
データセンターエンジニア リーダー
堀川 佳資 氏

セキュリティの進化も目覚ましいものがあります。桝氏は、「イミュータブル領域に保存されたデータは、たとえ当社のシステム管理者であっても上書きも削除もできません。万一、お客様の環境がランサムウェアに感染したとしても、イミュータブル領域にある“汚染される前の正常なデータ”を確実に保護し、そこから復元することができます」と話します。

幸いなことに、これまで実際に顧客が被害に遭ったことはありませんが、同社では過去に2度、大規模な復旧シミュレーションを実施しています。「復旧には、データのコピー時間や物理的な機材の搬送など、データ量に応じた工程が必要になるため、数時間で元に戻せるわけではありません。とはいえ、“確実に戻せるデータがそこにある”という事実は、お客様にとっても、私たちにとっても、何物にも代えがたい安心感になっています」(桝氏)。

運用担当者にとっては、新プラットフォームの「シンプルさ」が好評です。「バックアップソフトを介して管理する必要がなく、ストレージの機能として世代管理からイミュータブル設定までが完結します。直感的な管理画面が用意されているため、運用負荷は大幅に軽減されました」(堀川氏)。

データ量が半分以下になることで、実質的に収容できる容量は倍増しました。パフォーマンスは向上し、運用負荷も下がりました。これらは、SSD化によるコストアップを相殺して余りある価値をもたしました。結果として、コストを抑えながらパフォーマンスを向上させることができたのです。

 

拡大する医療現場のニーズに応える、持続可能な次世代データ基盤へ

同社のビジネスは大きく成長しており、年間60〜70病院というペースで増える見込みです。さらなるユーザー増に対応するため、同社では約2年周期でインフラを拡張する計画で、東京データセンター内にも十分な空きスペースを確保しています。

清政氏は、「今回作り上げた仕組みがあれば、ユーザー数が増えたとしてもバックアップ時間に大きな影響が出ることはありません。将来の拡張の際にも、今までにない確かな安心感を持って臨むことができます」と話してくれました。